曖昧な夢と現実と海と彼方

夢なのか現実なのか
隙間に落っこちてしまって


目が覚めてから
どこからが現実だったのか
どこまでが夢だったのか
判断能力が酷く鈍っている


携帯電話を開く
出勤確認メールは来ていない
ああそうだ、仕事をやめた
これは現実


猫がにゃんにゃん鳴きながら
餌を求めて私の手に噛み付く
痛い
これも現実


イタリアの街
フィレンツェに行くための大きなトランク
編み物の途中で放り投げた糸も
リビング 寝室どこをまわっても見つからない
それは夢


殴られた痕
痛くないのはいつものこと
夢だったか 現実だったか


不明
不明瞭
なにもかもが曖昧
曖昧な感情


チーズタルトを二つ食べたのはお腹が減ったから
スナック菓子の袋が落ちてるのはきっと甘い物に飽きたから


遠くに行きたい
どこか遠くに
「行ってしまいたい」


海の底に
空の彼方に
知らない土地に
知らない言葉に
遠く 遠く
遠い場所に


神様、どうかどうか
神様、連れ去って下さい
神様、消えたいよ
神様、オリオン座に


もう、夢と現実の回路で迷いたくない
何がおかしいのか
ナニカがおかしいの
衝動的に行動したい
全て壊して殺して
言葉にできない感情を
この胸の中の空洞を
壊して埋めてまた空けて
壊して壊して壊して壊して
また一人になって


いつまでも
ガラス玉を胸に抱えて
海の底で微睡んでいたいの



許して。