冷たい音に泣きながら揺れる

指輪を失くしたんだと気付いた朝には絶望。


朝起きてシャワーを浴びる昼は床が冷たい。


温もりの残らない毛布はもういらない。


午前10時に隣人の匂いはもうない。


秋深まるごとに一枚ずつ増えてゆく布


帽子だったりマフラーだったりストールだったりコートだったりカーディガンだったり。


オリオン座が見える。


午前2時はもう真冬の気配。


遠くでスピカが揺れている


なにかを少しずつ 少しずつ零しながら


雲の狭間で二つの星スピカ


きっと泣いている


寄り添って泣きながら揺れている


本日の真夜中もまた スピカ